《MUMEI》

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わたしは表情を変えず、もう一度口を開いた。


「ひとの気持ちをなんだと思ってんの?ふざけるのもいい加減にしたら?」


いきなりわたしが静かな声で批判したことに対し、由紀はビックリしたようで目を白黒させる。


「なに?なに怒ってんの?」


困惑したように尋ねてくる由紀に、わたしのイライラはさらに増す。


「『だらし無い』って言ってんのよ。あんた、一度でも女の子と真剣に向き合ったことあるの?」


わたしの言葉に、由紀は顔をしかめた。


「べつに真剣になる必要ないじゃん。声かけてくる女の子たちだって、そーいうこと求めてるワケじゃないんだし」


「みんながみんな、そーいう子ってワケじゃないでしょう?」



………少なくとも、

カナちゃんは、違う。

彼女がああやって、教室までやって来て由紀に詰め寄ったのは、

由紀が考える、べつのところに、彼女の想いがあるからだ。



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