《MUMEI》

克哉さんと顔を見合わせると、僕の方から口を開いた。

「え〜と…サンタさんへのお手紙はパパかママに渡さないとサンタさんに届かないんだよ」
「ふぅん……分かったぁ〜」

良かったぁ…。

くるみちゃんはようやく納得してくれたようで、克哉さんと一緒に胸をなで下ろした。



くるみちゃんの小さな歯を磨くと、寝る用意をしていつものようにおやすみのキスをした。

「おやすみなしゃい///」
「おやすみ、くるみちゃん」
「あ、でもね…サンタしゃんにおてまみ書いてかりゃ寝るのね、だかりゃお部屋覗いちゃダメなの」

くるみちゃんは部屋の隅に置いてあった小さなテーブルを持ってくると、僕を部屋の外へ押しだしてきた。

「うん分かったよ、そのお手紙は明日の朝にお兄ちゃんに渡そうね」
「うん、おやすみなの///」

くるみちゃんが子供部屋の扉を閉めたのを見届けると、リビングでは克哉さんが夜のコーヒーを煎れてくれていた。

「アキラは砂糖少なめだったな」
「はい…ぁ、でも今日はちょっと足して下さい」
「分かった、俺と同じくらいだな」
「はい///」


ソファーに座ってなんとなく理解出来るようになったテレビの天気予報とかを見ていると、克哉さんがコーヒーを持ってきてくれた。

「ありがとうございます///」
「そういえば、アキラもサンタに何かお願いするんじゃないか?」
「え、何ですか?」
「くるみに『自分もサンタさんに手紙を書くから』とか言ってなかったか?」
「それは、くるみちゃんがそうしたら書いてくれるかなって…でも…大人でもいいんですかお願いしても?」

克哉さんの座った隣に座り直すと、いつもよりちょっと近かったかなと思ってちょっとだけ距離をとってみた。

「大人でも、甘えてみてもいいんじゃないか…」
「そう…ですか」

克哉さんも、何だか珍しく照れたような表情で僕の事を見ている。

僕もそれを見て恥ずかしくなってきて、やっぱり離れようとしたら克哉さんは僕の肩を抱いてきた。

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