《MUMEI》
オタクとのキス
わたしの彼は、普通の人とはちょっと違う趣味を持っている。

「…でね、そのマンガなんだけどさぁ」

「うんうん」

「あのアニメも…」

「へぇ、そうなんだ」

「そして例のゲームなんだけどさ!」

「スゴイねぇ!」

…てなカンジが日常茶飯事。

つまり彼はオタク。

彼の生活はパソコンを中心として、マンガ・アニメ・ゲームが回っている。

そしてその輪の中に、最近、わたしが入った。

恋人、というカタチで。

彼は気が優しくて、いろんな話題を持つ人だ。

一緒にいても、相手を飽きさせることなく、いろいろな話をしてくれる。

自分の話をするだけじゃなく、ちゃんと相手の話も聞いてくれる。

一般的に言うと、草食系のオタク男子だけど、わたしは彼のことがとっても好き。

だから告白した。

なのに彼は…。

「えっ、ええっ!? なっ何か罰ゲームさせられてるの?」

…ときた。

一生懸命説明することの1時間後、やっと信じてくれた。

そして受け入れてくれた。

「こんな僕だけど…よろしく」

そう言って、真っ赤な顔をして、握手をした。

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