《MUMEI》

付き合いはじめると、彼は自分の好きなものについて、熱く語ってくれるようになった。

彼からマンガやアニメのDVD、それにゲームをよく借りるようになった。

分からないところや知りたいことがあれば彼に聞けば、快く答えてくれる。

わたしのことを大事にしてくれるし、優しくもしてくれる。

不満も不安も、わたしは彼に何1つ持っていなかったの…。

「ねっねぇ」

「なあに?」

休日、わたしと彼は街にデートに来ていた。

彼が見たいというマンガ原作の映画を見た後、昼食を食べた。

そして本屋やゲームのお店を回った後、一休みすることにした。

屋台でクレープを買って、自販機でジュースを買って、公園で一休みしていた。

その時、彼が少し暗い表情で言い出したのは…。

「僕の何が良かったの?」

「…? 何がって、何のこと?」

「その、僕と付き合うことを決めたキッカケとかさ」

「わたしはただ、あなたの優しいところが好きなだけ。あと趣味に夢中なところも」

「オタク…なのに?」

「うん。あなたが趣味に夢中になっている姿って、好きよ。明るくて、すっごくイキイキしてるし。何て言っても、可愛いしね」

「かっ可愛いって…。男に使う言葉じゃないと思うけど…」

「そうかしら? でも本当に可愛いと思うんだから、仕方ないでしょ?」

そう言うと、彼の顔が真っ赤に染まった。

やっぱり可愛い♪

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