《MUMEI》 「かっ可愛いのはさ」 「うん?」 「キミの方だよ」 「あら、嬉しい。アリガト」 笑顔で答えて、ふと気付いた。 「アレ? 口元、クリーム付いてるわよ?」 「えっ! クレープってあんまり食べないからなぁ。どこに付いてる?」 ティッシュを取り出して、口元を拭こうとする彼の手を止めて、わたしは身を乗り出した。 そして彼の甘そうな唇に、キスをした。 …やっぱり甘いキス。 彼の口の端に付いているクリームを舌で舐め取り、離れた。 「はい、取れた」 その後はクレープを食べ続ける。 「あっ、あのねぇ!」 「ん? どおしたの? 真っ赤な顔して」 分かっているのに、あえて知らんプリをする。 「キミって人は…! 可愛いのに、とんでもないことばっかりするんだから」 「ふてくされたあなたの顔の方が、よっぽど可愛いわよ?」 「だーかーらー!」 わたしはニコニコしながら、彼の話を聞く。 彼は気付いていないんだろうか? あなたが「可愛い」と言ってくれるわたしは、あなたと一緒にいるから可愛くなれることに。 趣味のことで、まるで子供のように夢中なあなたを見ていると、わたしまで夢中になってしまう。 そう、あなたに―。 前へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |