《MUMEI》

…しかし少女にとっては、予想もつかないことが、身近に起こっていた。

いつも通りオマジナイを終えた少女は、残り1日であることから、気を抜いていた。

物陰から、先輩が自分のオマジナイをしている姿を見ていることを気付かず―。

教室を出て行った。

そして物陰から、先輩は出てきた。

女の子の机を手で触れ、僅かに険しい表情をする。



―そして44日目。

少女よりも早く、先輩は学校に来ていた。

やがて女の子が教室へと近付く中、先輩は先に少女の机の前に来ていた。

先輩の目には、ドス黒く、紫がかかったモヤが映っていた。

モヤは机を取り囲むようにして、蠢いていた。


今日、この嫉妬と殺意の気に触れれば、間違いなく女の子は命を落とす―。

それだけは、避けたかった。

だから―マカは手に『気』を込めた。

少女が教室のドアに手を触れた。

―そして、『気』を込めた手で、机を叩いた。

バンッ!

「ぐあっ…!」

少女は目を開き、ノドを掻き毟った。

大きく見開いた目、そして鼻に耳、口から大量の血が溢れてくる。

「あがっ、ぐふぅっ!」

少女の体から、一気に血液が流れる。

やがて、少女の体は床に倒れた。

しぼんだ体は冷たく、硬くなった。

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