《MUMEI》 . わたしは思い切り廉の手を払いのけて、わめいた。 「ちょっと、どういうつもりッ!?」 金切り声で叫んだわたしに、廉はうるさそうに眉をひそめた。 「もっとトーン落としてしゃべれないの?テンパりすぎ」 「拉致られて、落ち着いて話が出来るかッ!!」 当たり前のことを突っ込んだのだが、廉はどこ吹く風で、全く気にしていないようだ。 正面を見据えながら、静かに呟く。 「仕事場に行く途中なんだよ」 「そんなプライベートなこと知るかッ!!」 怒鳴り返したわたしに、廉は不敵な笑みを見せ、 とんでもないことを口にした。 「お前には、俺の仕事ぶりをじっくり見学してもらう」 …。 ……。 ………はい?? . 前へ |次へ |
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