《MUMEI》 アイドルが庶民を夢中にさせる方法. 「…見学?」 眉をひそめて繰り返すと、廉は深々と頷いた。 「これから近くのフォトスタジオで雑誌の撮影があるから、目ェかっぽじってよーく見とけ」 「…なんで見学しなきゃなんないの?」 あんたのオカンじゃないんだし、とぼやき、わたしは半眼で、なぜか得意げな廉を睨んだ。 廉は唇の端っこを吊り上げて、ニヤリと笑う。 「お前、昨日言ったよな?俺に興味ないって」 いきなり言われて、少し考えてみたのち、わたしは首を傾げる。 「…言ったっけ?」 イマイチ、よく覚えていなかった。 すると廉は眉を吊り上げて、ズイッと顔を近づけた。 「言った!間違いなく言った!!芸能人だろうがアイドルだろうが、興味ないし関係ないってな!!」 恐ろしい形相で、至近距離から怒鳴った廉の言葉に、わたしは、ああ…と曖昧に頷く。 「そんな感じのこと、言ったかもねぇ…」 ………でも、 あのときのことは、かなり頭にきてたから、 うろ覚えなんだよなぁ。 . 前へ |次へ |
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