《MUMEI》 . 必死に念を送ると、それが通じたのか、廉は一度、肩越しに振り返った。 不安そうなわたしの顔を見て、 ニヤリと笑う。してやったり、といった表情だった。 テンパっているわたしのことを、完全に面白がっている。 廉は、まえに向き直り、そのまま建物の奥へと行ってしまった。 廉の後ろ姿を見つめて呆然としていると、 伊達さんが、声をかけてきた。 「それじゃ、行きましょうか」 ニッコリ笑って、廉が向かった方向とはべつの方へ歩き出す。置いていかれないように、わたしも慌てて彼女のあとを追いかけた。 ****** 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |