《MUMEI》

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必死に念を送ると、それが通じたのか、廉は一度、肩越しに振り返った。

不安そうなわたしの顔を見て、

ニヤリと笑う。してやったり、といった表情だった。


テンパっているわたしのことを、完全に面白がっている。


廉は、まえに向き直り、そのまま建物の奥へと行ってしまった。


廉の後ろ姿を見つめて呆然としていると、

伊達さんが、声をかけてきた。


「それじゃ、行きましょうか」


ニッコリ笑って、廉が向かった方向とはべつの方へ歩き出す。置いていかれないように、わたしも慌てて彼女のあとを追いかけた。





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