《MUMEI》
プロジェクトの矛盾2
部屋の構造は、俺と同じだから、把握している


「入るぞ」


寝室に続くドアを開ける


「…っ… …」


やっぱりな


真中はベッドの上で、毛布にくるまりながら泣いていた


こういう真中を見るのは初めてじゃない


見た目平凡な真中は、いじめの対象になりやすく、実際、俺や恋人の安西が気付く前に、小さないじめを受けていた事があり


その時も、こうして泣いていた


「何を言われた」


誰に、と俺はあえて言わなかった


風紀補佐として、女子寮に行ったからには、会ったのだろうと、思ったからだ


「これから、仲良くしましょうね、って…」

「それで?」

「皐月君に私がふさわしいように、和彦君にもふさわしい女の子が、いる、んだから…って…」

「そうか」


再び泣き出す真中


やっぱりな


口では、両想いであれば同性愛を認めるといいながら


…黒崎先生は、確かに言った


『高橋誠以外には、女を用意している』


…と


それは、明らかな矛盾だった

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