《MUMEI》 . 長い廊下を歩きながら、伊達さんは振り向いて、そういえば、と話しかけてくる。 「まだ、名前聞いてなかったわね?」 その台詞にわたしは慌てて答えた。 「うっ!うう宇佐美 仁菜です!!」 慣れない空気に緊張して、どもってしまった。恥ずかしくて俯くと、伊達さんはクスクス笑う。 「学校のお友達って言ってたけど…」 『お友達』というワードが、なんとなく癪だったので、わたしは、クラスメートです、とさりげなく訂正した。 しかし、わたしの思いは届かなかったようで、伊達さんはそのまま話を続ける。 「新しい学校であの子…【レン】は、上手くやってる?」 尋ねられて、わたしは少し考えた。 . 前へ |次へ |
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