《MUMEI》 . 首を傾げたわたしに、伊達さんは言葉を続けた。 「いきなり、フツーの高校へ転校するって言い出してね。わたしを始め、事務所の人間も大反対したんだけど、勝手に手続きしちゃって…結構モメたのよ」 彼女はあからさまに、ため息をついた。 伊達さんの言葉が、本当か嘘か、わからない。 でもわたしは、そうですか、と適当に相槌を打った。 さほど興味がなかったから、廉のマネージャーさんがそう言うなら、それで良いと思った。 伊達さんは、それより、と話題を変える。 「宇佐美さんて、モデルかなにかやってるの?エージェンシー…事務所とか入ってる?」 突然、そんなことを尋ねられて、わたしは顔をしかめた。まさか!と首を振って、全力で否定する。 「モデルなんてとんでもない!ただの庶民ですよ!」 自分で『庶民』と言って、少し虚しくなった。 . 前へ |次へ |
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