《MUMEI》

それは男が飛び降りることへの恐怖心を振り払ったことを意味していた。



そして―――…



いざその刻に臨もうかというとき…



K部長「アンパンマン…。」



柵越しに佇むカレーパンマンは、アンパンマンのほうへ肩越しに振り返った。



彼はアンパンマンのことを常務とは呼ばず、名前で呼んだ。



それは部下としてではなく……友としての最後の願いを告げようとする意識の表れだった。



K部長「お願いだ……。


…せめて妻と娘に……電話だけでも掛させてくれないか…?」



カレーパンマンは夫として……父親としての最後の願いを涙を浮かべて訴えかけた。

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