《MUMEI》
鳳凰寺の相手について3
「どうした? 高橋」

「い、いや、何でもない。庶民って聞いてびっくりしただけだから」

「まあな。当時もかなり騒がれたらしい。

理事長の姉は才色兼美で、求婚者が山ほどいたらしい」

「そ、そうなんだ…」


確かに今でも恐ろしい程若々しくて、娘の俺からしても、美人だけど


「実は俺の父親もそのうちの一人だったらしいし」

「え!?」


じゃあ、親父のライバルだったって事か!?


「だからその娘がいるって話を聞いた時、庶民でも俺の相手にって話もあったらしいけど…」

「けけけど!?」

「娘があまりにも父親似だから、やめたらしい。

…て、近い」

「あ、ワリー」


つい気になって


「いや」

「!?」


離れようとしたら、顎を掴まれ、顔を覗き込まれた


「何だよ」

「…結構、好みの顔だと思って。

その性格も、嫌いじゃないし。

おかげで、つい喋り過ぎた」

「…そうかよ。てゆーか、離せ」

「気持ち悪くないのか?」

「別に。この位は」

「ふーん。 …もし紹介されたのが、高橋だったら良かったのにな。ま、お前男だから無理だよな」

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