《MUMEI》 「うっ! 何か悪寒が!」 「マカじゃないのか? あの人、勘がスゴク働くから」 「かもな…。ヤベ、ウワサしてたのバレたか?」 「後ですぐに謝れ。それより店がこの辺りなんだが…」 2人がキョロキョロと辺りを見回した時、ハズミが足を何かに引っ掛けた。 「おわっ!」 「大丈夫か?」 マミヤはすぐに気付き、ハズミの方を見た。 「ったた…。ああ、何とかな」 すぐに体勢を直したハズミは、つまずいたモノを見た。 「―ゴメンなさいね」 ハズミが足を引っ掛けたのは、女の子の足だった。 その場に座り込み、2人を見上げている。 見た目は17歳ぐらいの女の子だ。長い髪が印象的。 「…いや、オレも余所見してたし」 「うん。でもあたし、ここから動けないからさ」 そう言って女の子は遠い目をした。 「いつもここにいるんだ? 行きたい所、ないの?」 「…今は分かんない。ここに来て、そう長くもないし」 女の子は深く息を吐いた。 「そっか。じゃ、オレ達行くから」 「うん、悪かったわね」 女の子は最後に笑顔で手を振った。 …だがマミヤの表情は暗かった。 前へ |次へ |
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