《MUMEI》 「これも何かのご縁でしょう。よろしくお願いしますね」 青年は微笑み、一つの桐箱を2人に差し出した。 「当主から了解は貰っています。ソウマさんに、ご検討のほど、よろしくお願いしますと伝えてください」 「分かりました。確かに」 「お預かりします」 2人は頷き、ハズミは桐箱を受け取った。 顔を上げたところで、ハズミは廊下の奥にいる、小さな女の子を見つけた。 おかっぱの頭に、赤い着物を着ている。 ハズミが笑顔で手を振ると、女の子はびっくりして家の奥へ駆けて行ってしまった。 「…おや、あのコにお気付きで」 青年は少し驚いた顔で、ハズミを見た。 「ええ、まあ。オレももうフツーじゃないんで」 ハズミが苦笑すると、青年も笑った。 「そうですね。でもご安心を。あのコは害あるモノではありませんので」 「でしょうね。そう感じなかったんで」 「今度来た時、ちゃんと挨拶をさせますね」 「はい、楽しみにしています」 1人、話に加われないマミヤを見て、青年はゆっくり微笑んだ。 「この家には座敷童がいるんですよ」 「はあ…」 「だから栄えるんですけどね。今度ご紹介させてください。きっとあのコも喜びますから」 「…分かりました」 そして2人は青年の家から出た。 前へ |次へ |
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