《MUMEI》 「…さすがソウマさんの知り合い。普通じゃないところが頷けてしまう」 「類は友を呼ぶってね。まっ、悪い人じゃなさそうだし、いいんじゃない」 帰り道は来た道とは違う道。 歩いている途中で、2人はふと歩みを止めた。 そして険しい表情で、道の奥を見る。 「…んでだ。何でだよぉ」 暗く重い声が、こちらに響いてくる。 頬が痩せこけ、ボロボロのスーツを着た若い男性だ。 ところどころ、体には傷があり、スーツにも血が滲んでいた。 「何でオレがっ、オレが何でっ…」 ブツブツ言いながら、二人の間を通って歩いていく。 ―その先に、3人の女子高校生がいた。 ウルサイ声で笑っている彼女達の間を、男性が通ると、 「うっ…」 「…あっ」 「えっ、何…?」 急に彼女達の顔色が悪くなり、よろめいた。 しかし男性は歩みを止めない。 彼女達は男性に気付かない。 「マミヤ、アイツって…」 「…関わらない方がいいだろう。マカに相談する方がいい」 「マカ、ねぇ。…何だかムダな気がするけど」 2人は帰る足を速めた。 前へ |次へ |
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