《MUMEI》 ワル男とのキス「邪魔するぜ」 「ホッントに邪魔だっ! キサマっ!」 ビュッ! 「おっと。アブね」 私の投げたシャープペンが、ヤツの顔面に直撃する前に、キャッチされてしまった。 「ちぃっ!」 「…お前、本気だっただろ?」 「当たり前。本気で邪魔だと思っているからな」 私は深く息を吐いて、イスに座りなおした。 そして目の前のソファーを指さした。 「とりあえずそこに座れ。言いたいことがある」 「分かったよ。生徒会長」 異国との血が半分入ったヤツは、顔立ちも体も良くて、女子生徒に大変人気だ。 いつも女子生徒に囲まれている。 男子生徒達は悔しそうにしているが、ケンカも成績でも顔でも勝てないので、影で泣いている。 先生達もヤツの父親の権力が怖くて、小さくなってしまっている。 そんなヤツに唯一意見できるのは、何故か私だけ! …ということになってしまっているので、先生達や生徒達(主に男子生徒)は、ヤツに何か言いたいことがある時は、私にそのことを伝え、私がヤツに伝えるという方法になってしまっている。 何てこった…。 いくら生徒会長でも、コレはないだろ? 「んで、今度は何だよ?」 「…お前、ナイトクラブでケンカしただろう?」 「ナイトクラブ? …う〜ん。アレか?」 「思い当たるのか!」 「まあな」 そう言って肩を竦める。 次へ |
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