《MUMEI》 「何でよりにもよって、ナイトクラブでケンカするんだ?」 「あっちからふっかけてきたんだよ。女のことでな」 …ヤツは顔立ちのせいで、よく男からケンカをふっかけられているのは知っていた。 理由はツレの女が、ヤツに夢中になってしまうから。 確かにヤツが悪いとは一言で言えないが…。 「それでもケンカせずに済む方法だってあるだろう?」 「メンドクせーんだよ。そういうの」 「私はお前のそういうところが、めんどくさい。こうやっていちいち呼び出す方の身にもなってくれ」 手元の書類には、ヤツがナイトクラブに出入りする写真と報告書がある。 1回だけならば、目もつぶろう。 しかし…合計15回はさすがに…。 「はぁ…」 「苦労するな。生徒会長」 楽しそうに私を見つめるヤツを、思いっきり睨み付けた。 「誰が苦労させてるんだ? コレでぶっ倒れでもしたら、キサマに責任取らせるからな」 「わぁお! それって結婚しろってこと?」 「はあ!? キサマの面倒を一生見てられるか!」 フイッと顔をそらした。 ヤツの周囲にいる女子生徒達を日々見ていると、本当に幸せなのかどうか聞きたくなる。 それに…私は真面目一筋で生きてきた。 ヤツの周囲にいるような、キレイに美しく着飾った女性達とは、全く正反対のタイプの女だから…。 …だからコイツに意見できるんだろうな。 「とにかく! 女性問題、暴力問題は極力控えてくれ! いい加減にしないと、学校にいられなくなるぞ!」 前へ |次へ |
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