《MUMEI》 「ふぅん…。まっ、それでも良いか」 ヤツは興味のなさそうに、軽く息を吐く。 …こんなヤツ、早くいなくなればいい。 そうすれば、安全で平和な学校生活を送れるんだ。 さみしくなんて…ない。絶対に思わない。 唇を噛んで睨みつけると、ヤツはニヤッと笑った。 「でも、その時はアンタも一緒な」 「はぁ!?」 …またいつもの口だけのか。 しかしヤツは立ち上がり、いきなり私を抱き上げた。 「なっ! ちょっえっ、放せ!」 「オレはアンタが良いんだ。アンタに決めた」 ヤツの顔が間近に迫ってくるのを、私は…止められなかった。 「んっ…」 ヤツの熱い唇に触れて、背筋に電気が走った。 「イヤだっつっても、連れてくぜ? アンタはずっと、オレの側にいるんだ」 「…勝手だな。キサマは」 「ああ、勝手さ。でもアンタは自由にさせない」 真面目な顔になって、私の額・瞼・頬に口付けていく。 「オレのモンだ。一生、放しはしないからな」 首筋に熱い熱を感じた。 「んっ…! きっキサマ、今っ…」 「コレが印だ。消えても、また付けるからな」 そう言って笑いながら、キスマークを舐めた。 勝手で、自由で、ワガママで…なのに、この腕から逃げられない。 私は言葉で答えるかわりに、ヤツの体に強く抱きついた。 前へ |
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