《MUMEI》
Frohe Weihnachten.(Wascherei)
Frohe Weihnachten.(Wascherei)
メリークリスマス(洗濯)
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僕も何か克哉さんにプレゼントしたいけど、お金がかかるものだとそれは克哉さんのお金だから本末転倒だし…。

本当に僕は何にも出来ないんだなぁ…。

そんな僕に出来るプレゼントって言えば………。



「おいアキラ…立ちながら寝てるのか?」
「えっ///ぁ…は、はい何ですか///」

ついつい、朝っぱらから変な考え事をしてしまった…。

「行くぞ…おい、そのままの格好だと凍えるぞ」
「はい、ちょっと待ってて下さい」

寝室のクローゼットからジャケットと手袋を取ろうとしたら、奥の方に隠してるんだか隠してないんだか分からない位置に見慣れない袋があった。

(ぇ…何だろう…)

それを見てみると、袋にはまたあまり見慣れない陽気な文字で”クリスマスのようせい”と、書かれていた。


(あれは克哉さんの字じゃないし…でも日本語だったし…)

「にいちゃ、忘れないでサンタしゃんに渡してよ〜」
「あぁ、分かってる」
「…中はサンタしゃんとおりぇだけのヒミツだかりゃね、見ちゃダメだよ!」
「お前もしつこいな…どうしたアキラ?」
「あっ、な…何でもないです」

仲良く手を繋いでいる克哉さんとくるみちゃんの後ろを考え事をしながら歩いていると、くるみちゃんがこっちに来て僕の手を引っ張ってきた。

「…あのね、おりぇアキラしゃんの事、しゅきだかりゃね」
「うん、僕もくるみちゃんのこと大好きだよ」

そう言って手を握るといつもはニコッと笑ってくれるのだけど、今日はなんとなく元気なく僕の腕に寄りかかってきた。

「でもね…おりぇ…」
「うん…」

うなだれているくるみちゃんのフワフワな髪を撫でていると、ギューッと僕に抱きついてきた。

「あのね…ミニョンの事も…同じくらいしゅきなの…」

くるみちゃんはそれだけ言うと手を離し、僕と克哉さんを追い越して幼稚園の門の中まで走って行ってしまった。

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