《MUMEI》

「…多分、彼女の『気』が入っちゃったんでしょうね。わたしへの嫉妬心がぎっしり入っちゃってる」

奪ったはいいけれど、捨てるに捨てられず、ずっと持っていたんだろう。

水晶は強い『気』に反応する。

彼女の負の感情を水晶は吸い続け…、彼女は負の感情がなくなり、スッキリしてしまった。

「良いことなのか、悪いことなのか…」

またとんでもない方向に、水晶が作用してしまった。

「ふぅん…。で、そっちのは?」

アオイが彼女がくれたプレゼントを指さしてきたので、わたしは開けた。

「あっ、キレイ」

ピンクのビーズで飾られたヘアゴムが2つ、入っていた。

「まったく…。最初っから僕に相談すればよかったのに」

「よく言うわね! 全然口出ししなかったクセに!」

「男の僕が口を出す方が、もめるんだよ」

「そっそれはそうだけど…」

だからと言って、ノーリアクションは無いと思う。

わたしがどんな目にあっても、アオイはニコニコしながら女の子達の相手をしていた。

それがまたムカツク。

「まっ、ルナのことを信用していたしね」

「どういう意味よ?」

「どんなことがあろうと、ちゃんとできるってね。それがムリなら、僕を頼るだろう?」

「うっ…」

「キミは基本的に、誰かを頼ろうとはしない。でも彼氏の僕なら、話は別。そうだろう?」

「…よく分かっていること」

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