《MUMEI》 「そりゃあ僕は、ルナの彼氏だから」 そう言って笑って、キスをしてくる。 「んっ…」 久々に感じるアオイの唇は、少し冷たかった。 「…貸して」 アオイは二つのヘアゴムを手に取ると、わたしの髪を結んでくれた。 「あはは、ウサギみたいで可愛いよ」 「んもう…」 無邪気に笑う彼を見ると、怒る気も失せてしまう。 「ねっ、ルナ」 「何よ?」 「今度の週末、僕の家に泊まりに来ない?」 「…誘い方が、ストレート過ぎると思うんだけど」 「そりゃ、年上を誘っているからね。それに余裕がないんだよ」 アオイは弱々しく微笑むと、わたしを強く抱き締めてきた。 「キミが足りないから。プレゼントよりも、キミが欲しいんだ」 「…分かったわよ」 わたしの方が年上だしね。 …ちょっとぐらいのワガママは、目を閉じましょう。 こうなるとプレゼントって…わたし自身の方がいいのかしら? でもそれって…寒いオヤジギャグよね。 前へ |
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