《MUMEI》
仮病
 
―――‥



――‥






「退屈だぁ〜」






今日は、悠一に13:00〜18:00は誰も部屋に近付けるなと言われている。


アイツも、考えなしによく言うもんだ。そんなに長い時間、誰も部屋に寄せ付けないようにするにはどうしたらいいか、なんて簡単には思い付かないのに。


悠一からの命令を聞いた瞬間はそんなことを思っていたが、梨央は一晩中考えた結果あることを思い付いた。




……仮病




これなら、メイドには"そっとしておいてほしいから、部屋には夕食の時間まで誰も入らないでね"とでも行っておけばいいのだ。

我ながら、ナイスアイディア!!


しかし、仮病というのは退屈なものである。元気なのに、一日中布団の中なのだから。





「…あ〜、マジ退屈だぁ〜」





時計を確認すれば、まだ12:00だ。あと一時間も何をしよう?

そんな事を考えているうちに、布団の心地好さからいつの間にか眠ってしまった。







――‥ツンッ コツンッ





「…ん〜、何の音だぁ?」





不意に聞こえてきた音に目を覚まし、音のする方を見ると、窓に小石が当たり"コツンッ"と音を出している。

窓に小石が当たるのは、彼が来た合図だ。





「…悠一」





一体どれくらい寝ていたんだろう…?時計に目をやれば、既に13:15を指していた。13:15か。

…13:15 !?





「やっべ!!」





急いでベランダに出て身を乗り出せば、そこには悠一が立っていた。

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