《MUMEI》
アイドルのオーラ
.


−−−ちょうど、そのとき。



「【レン】さん、入りま〜す!!」


「スタンバイ、よろしく!」


威勢のいい声が響き、それに答えるようにスタッフがそれぞれ返事をする。

わたしは、ふと、スタジオの入口に目を向け、



目を見張る。



タキシードを模した、斬新で、個性的なデザインの黒いショートジャケット。

真っ白なデザイン性のあるワイシャツの襟元には、ひときわ映える、黒とグレーのストライプ柄のボウタイ。

細身の黒いパンツに、足元は艶やかな光を放つ、ブラックレザーのドレスシューズ。


そして、ワックスで無造作にくせづけた、

特徴的な、あのキャラメルブラウンの髪の毛…。





………廉、だった。





見違えるほど、全くの別人のようになった廉が、そこにいた。


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