《MUMEI》
撮影風景
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「スタンバイお願いしま〜す」


ふたりの挨拶もそこそこに、スタッフが大声でみんなに呼びかけた。

廉は松前さんから離れて、セットの中に立つ。衣装係らしいひとが彼のもとへ近寄り、パンツの裾を最終調整した。

松前さんはセット正面にある三脚付きカメラのところへ向かい、ファインダー越しに、廉を見つめている。

レフ板を持つアシスタントに指示して、角度の調節をすると、松前さんはパッと顔をあげた。


「じゃあ、始めようか」


彼の掛け声とともに、

一斉に、スタッフたちは後方へ下がる。


松前さんはまたカメラを覗き、そのままの姿勢で廉に話しかける。


「ちょっと右に身体向けて、こっち見て〜」


松前さんの指示通り、廉が体勢を変えると、松前さんは、ストップ!と声をあげた。いきなり、ものすごい速さでシャッターが何回も切られる。


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