《MUMEI》 . −−−でも、 今、このスタジオの中にいるみんなは、 仕事に対する、ひたむきな情熱を、 それぞれが、それぞれの役割において、 まっすぐにぶつけ合っている。 それは、わたしが生まれて初めて目の当たりにした、 プロの姿だった………。 つい、現場に見とれていたわたしに、 ようやく、廉が気づいた。 スポットライトに照らされた真っ白なセットの中、彼はスタイリストさんに髪の毛を直して貰いながら、わたしの顔を見つめ、フッと勝ち誇ったようにほほ笑む。 そのほほ笑みを見て、 わたしの心臓が、大きく鳴った。 どくん、どくんと、 強く、そして烈しく脈打つ自分の鼓動に、戸惑う。 ………なに、コレ? わけがわからなくなり、わたしは廉から目を逸らした。 . 前へ |次へ |
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