《MUMEI》

「お2人とも、出張よろしく」

「えっー!」

「…分かりましたよ」

文句を言うハズミの腕を掴み、マミヤは店を出て行った。

「よっ良かったんでしょうか?」

「フォローも仕事のうちですから。ああ、報酬はこの鏡ということで」

「…ちゃっかりしてますね、ソウマさん。さすが商売人」

「ふふっ。カルマくんは早く家に帰った方が良いですよ? お父様が心配しますから」

「そうですね。それじゃ、オヤスミなさい」

「はい。良き夢を」



―翌日。

壁は何も無かったように元通りになっていた。

やがて【死神】のウワサも消えていった。

しかしカルマは時折、踊り場で立ち止まった。

自分の真実を映すものがあった場所で、その眼を血の色に似た色に染めながら…。

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