《MUMEI》 . わたしは勢いよく腕を振り払い、うるさいっ!と怒鳴ったが、廉にはきかなかった。 彼はニヤニヤして、わたしにズイッと顔を近づける。 「なになに、どーしたの??そんなに俺、カッコ良かった??」 バカにするように、言うのだ。 ………なっ!! 「ンなワケあるか、バカッ!!」 わたしは顔を真っ赤にして、精一杯叫んだのだが、廉はヘラヘラと笑っているだけだった。 見かねた伊達さんが、いじめないの、と調子に乗っている廉をたしなめる。 「表情、良いんじゃない?なかなか、カッコ良いわよ」 伊達さんが優しく褒めると、廉はニコッと笑い、ありがとう、と答えた。 それからわたしに向き直る。そして、いたずらっぽく笑った。 「……ですってよ、宇佐美サン。俺、カッコ良いって」 なにがなんでも、わたしに『カッコ良い』と言わせたいようだ。 そんな下心が見え見えで、わたしは余計に反発したくなる。 . 前へ |次へ |
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