《MUMEI》

廉からプイッと顔を背けると、あっそ、と素っ気なく答えた。


「良かったね、褒められて」


つれない返事に、廉はムッとしたようで、なんだよ、と食ってかかる。


「ホントに素直じゃねーな」


「あんたがゴーマンすぎんのよ」


「なんだって?」


「ホントのことでしょ?」


いがみ合って、まさに一触即発のわたしたちのもとへ、


「【レン】くん!」


松前さんがにこやかに近寄ってきた。

彼は、わたしと廉の顔を見比べるなり、首を傾げる。


「仲良くしてるとこ、悪いね〜」


松前さんはわたしの顔をじっと見て、廉に尋ねる。


「もしかして、恋人かな?」


いきなりとんでもないことを言い出したので、わたしと廉は同時に否定する。


「違います!」


「そーですよ、なんで俺が、こんなトンチンカンなオンナと!!」


「ちょっと!トンチンカンってなによ!!」


「お前のことだろ!」


再びギャースカ言い合うわたしたちを、松前さんはニコニコと見守っていた。


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