《MUMEI》

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わたしは、その熱のこもった眼差しに、思わず逃げ腰になったのだが、伊達さんは気づくことなく、笑いながら松前さんに答える。


「ですよねー。ウチの事務所が女の子OKだったら、即スカウトしてるんですけど」


松前さんは豪快に笑い、そうだね、と同意した。


「『和製アギネス・ディーン』のキャッチコピーで売り出せば、すっごい人気出ると思うよ」


伊達さんも面白そうに、それ良いですね!と弾んだ声で頷いた。


「『アギネス』、今、旬ですからね。あちこちで引っ張りだこ、間違いないですよ」


勝手に話を進める二人を横目で見ながら、わたしは隣の廉に、ねぇ…と小声で話しかけた。


「…『アギネス』って、なに?」


二人の会話に出てきたナゾの単語を尋ねると、廉は面白くなさそうに肩を竦める。


「…イギリスのトップモデル。今、海外のコレクションとか、いろんな広告でミューズをやってる」


そんなことも知らないのか、と逆に怒られた。



………トップモデル??



そのテの話にうといわたしは、全く興味がわかず、ふぅん…と軽く唸っただけだった。


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