《MUMEI》
良い気になるな
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松前さんの言葉に、伊達さんは困惑げにほほ笑み、廉はますますしかめっ面をする。

わたしはわたしで、なにがそんなに面白いのかわからずに、ただ眉をひそめていた。

ひとしきり笑ったあと、松前さんは、ねぇ、とわたしに声をかける。


「モデルとかタレントとか、全然興味ないの?」


急に尋ねられてビックリしたが、わたしは冷静に頷き返した。


「ちっとも」


さっぱりと答えると、松前さんは声をあげてまた笑った。

脇腹を押さえて涙目になりながら、そっかぁ!と続ける。


「君くらいの年頃なら、アイドルとかタレントにキャーキャー騒いでもおかしくないのにねぇ!」


もったいないなぁ、と付け足す。なにが『もったいない』のかわからず、わたしは眉間にシワを寄せた。


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