《MUMEI》

「えっ!? クリスマスって、血族、パーティーしないの?」

ハズミのその言葉に、血族のマカ・ルナ・ヒミカ・ソウマはあきれた表情になり、マミヤは手で目を覆った。

あまりに場違いなハズミの発言に、目眩がしたのだ。

「…ハズミくん、わたしも400年以上生きているけど、血族でクリスマスパーティーをした記憶は無いわ。もちろん、記録もね」

「大晦日と正月ぐらいなら、酒を飲んで騒いだりもするわよ。それでガマンなさい」

「そうですね。クリスマスというイベントは、血族では無関係ですから。祝いたいのなら、前倒しでこっちでパーティーしましょうか? ケーキやチキンぐらいは用意しますよ?」

「ソウマさん…!」

ソウマのあたたかな言葉にハズミは立ち直りかけたが…。

「あっ、私はパスな」

「何でっ!?」

振り返って見たマカは、冷静な顔をしていた。

「終業式が終われば、すぐに実家に向かう。それまでの予定ももう埋めてしまったんだ。ミナ達とのクリスマスパーティーにも参加するし」

「何でそっちは良くて、こっちがダメなんだよ!」

「あっちは表の世界だ。闇の世界にばかり顔を出していたら、バランスが悪くなる」

きっぱりと言い放ったマカに、ハズミは思いっきり打ちのめされた。

「まっまあまあ、ハズミくん。わたしも参加するから。あっ、アオイも呼ぶわよ? ヒミカもキシを呼んだら? 人は多い方が良いでしょう?」

「そうね。他にもルカ達も呼べば、きっと来てくれるから。大勢で騒ぐの、ハズミ好きでしょう?」

「…こに」

「ん?」

ぼそっと呟いたハズミに、マミヤは耳を寄せた。

「そこにマカがいなきゃ、意味無いんだよぉお! マカのバカー! 冷血漢!」

泣き叫びながら店の奥へ走って行ったハズミの背中を、その場にいる全員が冷たい視線で見送った。

「…随分とまあ、可愛らしい行動だこと」

「アレでアタシと同じ歳…」

「本当にすみません!」

同じモノとして、マミヤが頭を下げた。

「まあマミヤが謝ることではないですよ。それより、マカ。本当に都合がつかないんですか? 一時間でも?」

「…無理だと思うな。ミナ達のパーティーさえ、二時間しかいられない予定なんだ。代わりに準備の方を引き受けてしまったし…」

マカはケータイをいじり、予定を確かめた。

「今年がいつも通りであれば、大丈夫だったんだがな」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫