《MUMEI》 . わたしはもう一度瞬き、 当たり前じゃん、と答えた。 「何度も言うけど、わたしは芸能人とかアイドルに、全然興味ないの。アンタがめちゃくちゃ忙しいのはわかったけど、そんなのわたしに関係ないしね」 わたしの正直な気持ちを伝えると、 廉は、は?と顔をしかめた。 「さんざん見学しといて、なんだよ、その言い方」 恩着せがましく、刺々しい言い方に、わたしはすっかり呆れた。 腕を組んで廉を睨み、あのねぇ…と答える。 「見学したいなんて、頼んでないし。仕方なくアンタのわがままに、付き合ってあげただけ」 真実を口にしたのだが、廉はますます不機嫌そうな顔をする。 わたしはため息をつき、彼に背を向けた。 廉はわたしの背中に、どこ行くんだよ、と声をかけてくる。 わたしはゆっくり振り返り、帰る、と簡単に答えた。 「撮影、終わったんでしょ?もう、帰らせてよ」 . 前へ |次へ |
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