《MUMEI》

.

わたしはもう一度瞬き、

当たり前じゃん、と答えた。


「何度も言うけど、わたしは芸能人とかアイドルに、全然興味ないの。アンタがめちゃくちゃ忙しいのはわかったけど、そんなのわたしに関係ないしね」


わたしの正直な気持ちを伝えると、

廉は、は?と顔をしかめた。


「さんざん見学しといて、なんだよ、その言い方」


恩着せがましく、刺々しい言い方に、わたしはすっかり呆れた。

腕を組んで廉を睨み、あのねぇ…と答える。


「見学したいなんて、頼んでないし。仕方なくアンタのわがままに、付き合ってあげただけ」


真実を口にしたのだが、廉はますます不機嫌そうな顔をする。

わたしはため息をつき、彼に背を向けた。

廉はわたしの背中に、どこ行くんだよ、と声をかけてくる。

わたしはゆっくり振り返り、帰る、と簡単に答えた。


「撮影、終わったんでしょ?もう、帰らせてよ」


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫