《MUMEI》 . ………え? わたしはゆっくり顔をあげ、廉を見た。彼は燃えるような烈しい目つきで、わたしを睨みつけていた。 心臓が、ひとつ、大きく脈打つ…。 今まで見たことないような、廉の怒りを目の当たりにして、わたしはゾッとする。 絡み合う視線を外せぬまま、わたしが絶句していると、 廉は突然、わたしの腕を解放して、一歩、後ずさった。 呆然としているわたしを見て、彼は表情を変えず、続ける。 「覚悟しとけよ」 そう小さく呟くと、廉はサッと身を翻し、わたしをそこに残したまま、スタジオから出て行った。 わたしはそこから動くことも、彼の背中になにか呼びかけることも出来ず、 ただ、立ち尽くしていた。 ****** 前へ |次へ |
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