《MUMEI》
3つの恋愛模様
「何でだよぉ! 何故なんだぁ!」

ハズミはソウマの店内で、泣き喚いていた。

いつも通り、客は全くいないと思ったら…。

「うるさいですよ、ハズミくん。もう少し、静かにしてもらえませんか?」

キシが客として来ていた。

「まあまあ。ハズミはマカがマミヤを連れて、出かけてしまったのを悲しく思っているんですよ」

ソウマがハズミにホットココアを淹れたマグカップを渡した。

「ううっ! 何でマミヤが良くて、オレがダメなんだよぉ」

「今回、マミヤの方が適任だったというだけですよ」

「ボクだってヒミカを連れてかれて、不機嫌なんですよ。キミもガマンしなさい」

「うわーん! …ずずっ」

泣きながらもココアをすするハズミを見て、キシはあきれた表情でため息をついた。

「全く…。マカさんの気苦労が手に取るように分かりますね」

「どういう意味だよ? それを言うなら、オレだってヒミカの苦労が分かるさ。アンタみたいな粘着質のストーカーに好かれちゃ、気の休む時なんて無いだろうね」

その頃…。

「「はっくしょいっ! くしょいっ!」」

「…二人とも、大丈夫か?」

街にある図書館で、マカとヒミカはどでかいくしゃみを二発した。

近くにいたマミヤが、二人にポケットティッシュを差し出す。

「あっああ、悪いな」

「…この悪寒はキシね」

「こっちはハズミだな」

「なっ何で分かるんだよ?」

「「何となく」」

二人は険しい顔で、鼻をかんだ。

そしてソウマの店内では…。

「聞き捨てなりませんね。ヒミカとボクは相思相愛なんですよ? 一方的な思いを抱き続けているのは、キミの方でしょう?」

「ムリヤリ両思いになっといて、それはないでしょ?」

コーン★

戦いのコングが鳴り響いていた。

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