《MUMEI》

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わたしがビックリしたまま、なにも答えられずにいると、晃はわたしの机の上を指さしながら首を傾げた。


「5限、終わったよ?片付けたら?」


そう言われて、わたしの机の上に、生物のテキストが開きっぱなしになっていたことに、初めて気づいた。ここが学校の教室で、さっきまで授業を受けていたことにも。

すっかり、意識が飛んでいた。


「そうだね、ぼーっとしてた」


わたしは曖昧に笑いながら、慌ててテキストを片付ける。

晃は眉をひそめて、どうしたの?とまた同じ言葉を繰り返した。


「なんかヘンだよ…あ、仁菜がヘンなのはいつものことなんだけど」


さりげなく失礼なことを言われたが、わたしは言い返す気にならなかった。


チラリと、廉の席の方へ視線を流した。


あの撮影の日から、廉は仕事を理由にずっと学校を休んでいた。


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