《MUMEI》

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廉と席が近い女子たちは、みんな決まって、とてもつまらなそうな顔をしている。

彼女たちは、ファッション雑誌を斜め読みしたり、鏡に向かってメイクを直したり、携帯ゴテで髪の毛を盛ったりと、それぞれが好き勝手なことをしていた。

その姿はたぶん、廉のまえでは死んでも見せないだろうと思ってしまうくらい醜悪だった。モラルのかけらも見えない。


そんな様子をながめているときでも、

ふと、脳裏に蘇ってくる、



−−−あの目。



このまえ、廉が見せた、強い鋭さをたたえた目つきに、

わたしの気持ちは、完全に捕われてしまっていた。



わたしは力無くほほ笑んで、いつも通りだよ、と呟く。

晃は、そうかな…?と首を傾げていたが、なにか思い付いたようで、わたしに顔を寄せ、ひそやかに耳打ちする。


「…もしかして、由紀となにかあった?」


わたしは晃の顔を見上げ、は?と眉をひそめる。


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