《MUMEI》
アイドル登場
.

不思議に思って、わたしと晃はそのまま会話を途切らせ、そちらへ目をやった。



そして、


−−−目を見開く。



教室のドアに手をかけている、制服姿の廉が、そこにいた。


彼の額にはわずかに汗が滲んでいて、少し息を切らせている。


廉が、姿を現した瞬間、


ワッと教室中がざわめいた。


「北條くーん!!」


「やだぁ!久しぶりじゃん!!」


我先にと言わんばかりに、女子たちが廉に、猫撫で声で一斉に話しかける。

廉は爽やかにほほ笑んで、彼女たちに、おはよう、と挨拶をした。

それからなにげなく視線を巡らせて、わたしの方へ顔を向けると、


運悪く、バッチリ目が合ってしまった。


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