《MUMEI》

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晃は羨ましそうに女子たちを見つめている。きっと、彼も廉にノートを貸したくて仕方ないのだろう。

由紀はこの騒ぎにようやく気がついて、不思議そうに眉をひそめながら、イヤホンを外して廉とその取り巻きを眺めていた。


そして、廉は………。


差し出されたたくさんのノートを一通り眺めて、



「…ごめん」



と、小さく謝った。

一瞬、女子たちはなぜ謝られたのかわからずに、キョトンとする。

そんな間の抜けた表情を見つめて、

廉は優しく囁いた。


「借りるひと、もう、決めてるんだ」


気持ちだけ貰っとく、とニッコリする。


途端、一同は顔を見合わせ、首を傾げ合った。

沈黙があたりを覆う…。


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