《MUMEI》 小田桐さんの一喝!. 彼女の剣幕に怯え、わたしはチラッと顔を盗み見て、でも…とぼやく。 「上手くダマすって、そんな簡単に出来るの?そもそも、元気なのに病人のフリなんか…」 どうやってすればいいの?と、尋ねるまえに、 小田桐さんは、キレイな眉を吊り上げて、 「ぅるっさぁぁいッ!!」 大声で遮った。 あまりの大音量に、ついドン引きしてしまう。 黙り込んだわたしに、小田桐さんはズイッと顔を近づけて、体温計など一式を指さしながら、一気にまくし立てる。 「簡単に上手くダマせるように、そのアイテムを用意して渡したんじゃないッ!!だいたいねー、アンタちょっと甘えすぎなのよ!!『なんで??』、『どうして??』、『どうすればいいの??』って聞くまえに、まず最初に自分で考えなさいよ!!」 小田桐さんがものすごい怖い顔をしていたので、わたしは慌てて頷き返すと、おとなしくベッドの上で横になった。 小田桐さんはそれを確認してため息をひとついて、…それじゃあとでね、と呟くとさっさと保健室から出て行ってしまった。 ひとり残されたわたしは、胸の中に渦巻く不安とか不信感とかを、 深いため息に変えて、ゆっくり吐き出した。 ◆◆◆◆◆ 前へ |
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