《MUMEI》
バス
「何グズグズしてるの。遅刻するわよ。」
母さんに促され、僕は家を出た。学校までバスで20分。
夕べの現場まで15分くらいだ。
いつもなら15分なんてあっと言う間に過ぎ去ってしまう。
だが今日は違う。
ドクン。
胸が苦しい。
早く
いや、そうじゃない。この胸の高鳴りは…
優越感。
僕はまた夕べのことを思い返した。窓硝子には笑みを浮かべた僕の姿が映っていた。
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