《MUMEI》

ぼんやりそう思っていると、授業が終わった。

フラフラしながら、一階にある自販機に向かった。

「お茶お茶…」

冷たいお茶のペットボトルを買って、近くのベンチに腰掛けた。

「あちぃ〜」

…今日の授業は殆ど頭に入っていなかった。

暑いせいもあるが、アイツがいたせいで…。

どうしても意識がアイツに向かってしまう。

そのせいで、ノートもろくに取っていない。

「あ〜くそっ」

一気にお茶を飲む。

「美味しそうだね」

「ブッ!」


いつの間にか、アイツが目の前にいた。

…涼しげな笑顔で。

「何だかフラフラしてたけど、大丈夫?」

「だっ大丈夫っ」

正直今の方が大丈夫じゃない。

「お茶、ちょうだい」

そう言ってOKしないまま、ペットを取られた。

「あっ!」

止める間も無く、口を付けた。

「―お茶、好きだよね」

一口飲んで、返してきた。

…コレをどうしろと?

「まあ、な…」

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