《MUMEI》

「パンでもご飯でも、お菓子食べてる時でもお茶飲んでる」

「…よく見てるな」

「キミほどじゃないよ」

にこっと笑顔を見せられても…。

「ねぇ、ちょっと聞きたかったんだけどさ」

「何だ?」

「キミって、俺の事、好きでしょ?」

ゴトンッ

…キャップを締めて良かった。

……と言うかコイツ、暑さで頭がやられたか?

「ずっと俺のこと見てるし、そうじゃないかって思ってたんだけど」


「見てたのは否定しないけど…」

「ホラ、ね」

「でもそれと好きという感情がつながるとは…」

「んっ」

…その先の言葉は言えなかった。

口を塞がれたからだ。

「…えっ?」

「キスだよ。別に気持ち悪くないでしょ?」

………まあ、確かに。

「俺もね、最初は見られているってだけじゃ、恋にはならないだろうなって思ってたんだけど」

…電波系だったのか、コイツ。

「でも行動してみなきゃ、やっぱりダメだよね」

そう言ってまた笑う。

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