《MUMEI》 「もうムリだってぇ。俺、お前がいなきゃもう演劇できないもん」 「なぁっ!」 なっ何てことを言い出すんだ! しかしコイツはニコニコと笑う。 「だって最初に俺の才能に気付いてくれたのは、お前だし。今の俺がここにいるのもお前のおかげだし。もう離れらんないよ」 「離れろよ! つーか自意識過剰過ぎるぞ!」 「役者なんて、自意識過剰じゃなきゃできないって」 …確かに。 「だから、とっとと俺のものになってよ」 そう言ってまたキスをしてくる。 「んんっ…」 …唇を合わせるようになって、大分経つ。 それでもまだ、恥ずかしさがある。 流石に常識が多少あるのか、人前では抱き着いたりはするけれど、キスはしてこない。 二人っきりでいる時だけ―キスをする。 分かっていながら、何でオレは…! …わざわざ二人っきりになることをしているんだ? 「…出来ればずっとずっと一緒にいたい。俺が役者でお前が脚本。それでずっとやっていきたい」 「それって…」 夢というより、プロポーズだ。 胸の辺りが熱くなる。 「―好きだよ。演劇とは比べられないケド」 「…そんなの当たり前だ」 オレだって脚本とは比べられないから。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |