《MUMEI》
電車の中で
と、思案中にまたケータイが震える。

今度は…ルカだ。

今年は地下鉄のバイトを任せた。

外に出ている血族の中で、比較的時間があったのがルカだったので、頼んだ。

結果は成功。何一つ問題を起こさず、終わったから良かった。

その彼女からメールだ。

頼み事なら聞いてやろうと思ったら…。

『クリスマスパーティー、来れない?』

「またか…」

思わず言葉が出てしまう。

数日前から、この誘いがきているが、いい加減くどい。

ハズミから泣きつかれたらしいが、ルカは頼られると甘いところがある。

だからちょっと心配だったんだが…。

とりあえず、返答する。

『時間ができたら行く』

いつもの言葉を返す。

忙しくてムリだと言うのに…。

ケータイをたたもうとしたが、またメールだ。

今度は写真添付付き。

開けて見ると…絶句。

送ってきたのはキシだ。

優秀な男だが、同属のヒミカのストーカー兼婚約者。

ストーカーの部分を抜かせば、一般人としては優秀な男だ。

だが…送られてきたのは、眠っているヒミカと満面の笑顔のキシの写メだった…。

またヒミカが怒りそうなことを…。

お茶目なのか、嫌味なのか、本気で悩むところだ。

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