《MUMEI》
幸せな時間
あなたと二人で出掛けた休日。

寒くて寒くて、言葉まで凍りそうだった。

あの頃とは確実に違う。

距離に心が締め付けられた。


でも、
隣に立つあなた。

片手で本を持って、片手で吊革を握って。

その真剣な瞳に、文字通り釘付けになる。


私が読んでいる本の話をすると、くしゃってなる顔にドキドキする。

何気無い会話に笑うあなたにぎゅっとなる。


幸せな時間はすぐ過ぎる。

最後に渡したプレゼントに「ありがとう」の言葉。

泣きたくなる。


なんで?

こんなに近くにいるのに。

触れるのに。

私じゃもうダメなの?

教えてよ。

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