《MUMEI》 「伊達が用事って何だろ?」 「さぁ? 私はなんとも…」 ユキヒロと佑香は廊下を歩いていた。 ユキヒロは職員室、 佑香は自分のクラスに戻る途中である。 「〜♪」 「…楽しそうだな。」 「え? そうですか〜?」 寝起きのユキヒロはまだ体が重く、 ダルそうな様子であったが、 対照的に佑香の足取りは軽かった。 「何でそんなご機嫌なの?」 「いや、 さっき村木先輩と話せたんで♪」 「…あ、そ。」 たったそれだけの理由であったが、 佑香は随分楽しそうな様子であった。 が、 「あ…」 急に佑香の表情が曇り、 ユキヒロの後ろに隠れた。 (ん?) 1度佑香を見るユキヒロ。 そして佑香の見る先を追った。 (そういうことか…) 佑香の見る先、 ユキヒロたちとは反対側から猪狩が歩いてきていたのだ。 「…」 「…」 一瞬目があったが、 会話をすることなく2人はすれ違った。 「…ふん。」 前へ |次へ |
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