《MUMEI》

ボルシチ「その通りだ…。」



ボルシチェンコは苦虫を噛むような表情のまま頷くと、舵輪を操り、貨物船を識別灯のほうへ導いてゆく――…。



ボルシチ「現に中国北東部の“臓器狩り”で捌かれた臓器が中国国内外に向けて流れ始めてやがる。


中には獣の臓器を人間のものと偽って売り捌く外道までいるって噂だ…。


おかげで闇市場の信頼性が揺らいで、国際的な臓器価格も下落し、オレ達の利鞘をどんどん食い潰してやがるのさ…。」



兄……ボルシチェンコは吐き棄てるようにボヤくと、双眼鏡を覗いて赤と緑の光を見つめた…。

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