《MUMEI》 昼、街に戻ってきてぐったりしている間に、電車の窓から見える景色が、見慣れた街並みになってきた。 降り慣れたホームに立つと、ほっと息が吐けた。 …やっぱりここに安心感を感じる。 実家がある街だし、何より…私の生きている場所だから。 駅から出ると、すぐに見慣れた顔を見つけた。 「おや、マミヤにシヅキ、それにラゴウまで」 「マカ、おはよう」 「いよっ、マカ」 「おはよう、マカ。朝早くから出かけていたのかい?」 三人はそれぞれ大きな紙袋や布袋を持っている。 「ああ、ちょっと私用でな。それよりその荷物、どうしたんだ?」 聞いてすぐ、気付いた。 「うん。…クリスマスパーティーの材料を買いに」 マミヤが苦笑して、紙袋を少し上げて見せた。 「あ〜、そうだったか」 「マカ、少しでも顔出せないか? ハズミが心細そうにしていたぞ?」 「…ちょっと難しい問題だな」 「まあ忙しい季節だからね。息抜きとしてでも、来れたらおいで」 「ああ…。まあ時間が出来たらな」 まだ何か言いそうなシヅキを、マミヤとラゴウが押して行った。 …ヤレヤレ。タイミングが悪かったな。 しかし…何でウチの血族は、ハズミに甘いんだ? だからどんどん調子付くというのに…。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |